Kino's Science Class

遊びの中に科学を

【解説編】お野菜を使って水あめを作ろう! for adults

 

前回の記事,【お野菜を使って水あめを作ろう!】

の解説編です。

もっと仕組みを詳しく知りたいっ!と思った方,

お子さんに補足説明をするための

親御さん向けになります。

 

前回の記事for kids 

kinoscience.hatenablog.com

 

 

 

まずは作り方の概要をおさらいしてみましょう。

 

 

ジャガイモを擦り潰し,
それを濾してでんぷんを取り出す。
でんぷんを加熱して
粘り気のある糊の状態にする。

 

 

○まずここで一つ目のfan fact!

この糊のような状態にすることを

糊化(こか),α化と言います。

元の生の澱粉β-澱粉べーた-でんぷん

加え加熱すると

澱粉膨潤して糊になり

酵素によって分解されやすくなること

 

皆さんも米のα化、やアルファ米

聞いたことがあるのではないでしょうか

そのαと同じです。硬くて食べられない

生のお米(β化状態)を

炊飯することでα化した柔らかく、

消化しやすい状態にし、

そのまま急速乾燥することで

α化の状態を保ったままの

特別処理されたお米のことです。

 

ちなみにこの澱粉という漢字は

常用漢字でないので

日本応用糖質科学会などの学界を除いて 

でんぷん,デンプン,デン粉など

と書くそうですよ。

 

 

 

次に大根をすり下ろし,
絞って抽出した液体を湯煎する。
この加熱した抽出液と
でんぷん溶液を混ぜ,
8時間放置する。

 

 

○ここは前回ざっと紹介したので

あまり補足することがないですが

この大根汁,含まれている酵素

察しの良い方はお気づきかと思います。

そう,中学校の理科で何度も出て来る

アミラーゼ(ジアスターゼ)です。

でんぷんといえばアミラーゼ,

アミラーゼといえばでんぷん

のような方程式が中学校時代

形成されていたのは私だけでしょうか笑

 

ここで湯煎することで酵素活性

を行なっているんですね。

酵素の最適温度についても軽くですが

前回説明させていただいたので今回は省きます。

 

最後に煮詰め,水分を飛ばして完成 です。

 

○ほんのり甘いと前回の記事で記述したのは、

ショ糖(お砂糖)1 に対して

麦芽糖の甘味度が約0.6

半分近く甘みが少ないのです。

 

 

 

さて、この実験を通して学べること,それは

「炭水化物の消化」

実験ではでんぷんが大根に含まれる

アミラーゼによって分解され,

麦芽糖になることによって

水飴ができることがわかりました。

 

でんぷん(炭水化物)が体内に入ると

唾液に含まれるアミラーゼをはじめとした

様々な酵素によって分解され,

最終的にはグルコース(ブドウ糖)や

フルクトース(果糖),

ガラクトース 等の単糖にまで分解されます。

 

f:id:kinoscience:20210827162319p:plain

 

今回の実験では 

この体内で起こる現象を体外で確かめる

ことができます。

 

食べ物の消化を助ける胃薬に含まれる成分の一つに

アスタータカジアスターがあります。

上部のアミラーゼ(ジアスターゼ)

の記述を見てピンときたのではないでしょうか。

 

実は今回の大根の役割を

タカジアスターゼが主成分の胃薬でも代用できます。

胃薬の方が大根の風味がなくなって

美味しいかもしれませんね笑

 

 

薬局で購入できるので

興味のある方はぜひお試しあれ

その際はぜひ,イソジンも購入して

でんぷん×大根  でんぷん×胃薬 

がちゃんとでんぷんを分解したかどうか

ヨウ素デンプン反応の実験

も行ってみると面白いと思います。 

 

 

 

もし胃薬で実験する場合,

薬によって年齢制限が異なります。

お子さんの味見はご遠慮ください。

 

 さらに炭水化物の消化に興味を持った方は

Google scholar「デンプン アミラーゼ」

などなど調べてみてください。

面白い論文をたくさん読むことができますよ。

 

 

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 【Attention 】

この記事はあくまでも科学が好きな

一般の高校生が書いているため、

十分に調べてから記事を書くようにはしていますが

誤った情報を記載してしまうことがあります。

誤りを見つけた際には

ぜひコメントをお願いします。

記事をより良いものにし、

多く方々に正しい科学の知識

と面白さを伝えていきたいと思っています。

ご協力よろしくお願い致します。

 

 

 

 

参考文献は以下の通りです。

 

 

https://www.onisifoods.co.jp/about/

https://www.weblio.jp/content/糊化

https://www.alic.go.jp/joho-d/joho08_000068.html

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se23/se2331003.html

https://www.toyama-kusuri.jp/ja/members/lectures/document/333/main02.html

http://zen.shinshu-u.ac.jp/modules/0052002002/main/main.pdf

https://dailyportalz.jp/b/2006/07/25/c/3.htm

http://www.ajiwai.com/otoko/make/mizu.htm